発達障害の一つ、ADHD(注意欠陥・多動性障害)には、これまでたくさんの研究が行われてきました。
そんな中、過去最大の「ADHD患者と健常者の脳のMRIスキャン比較研究調査」が実施されました。この研究により、ADHDの正体が明らかとなったのです。
ADHDと脳の研究について
今回、ADHD患者と健常者の比較として注目されたのは、脳のMRIスキャンです。「ADHDは脳の病気だ!」と仰る方も多いので、とても興味深い研究です。
この研究結果は、世界で最も古く、最も有名な一般向けの医学雑誌「The Lancet Psychiatry」で紹介されました。
この研究結果の内容は大まかに説明すると
といった内容となっています。
ADHDの脳について公表された事実
ADHDの研究結果として今回発表された結論を先に述べると
という事が判明したのです。
これまでのADHDと脳の研究結果
これまでのADHDの脳に行われた研究では、ADHDの症状に関連する脳の領域は、「大脳基底核」と言われる「感情・運動・認知」といった機能を制御している領域に大きく関連している事がわかっていました。
また、ADHD患者の脳は、大脳基底核の尾状核、被殻といった領域が健常者よりも小さいという研究結果もあります。
しかし、この結果を裏付けるサンプル数が少なく、この研究結果を明確にする事が出来ずにいたんです。
ADHDの脳に行われた研究内容
そこで、十分なサンプルを確保し、研究結果を明確に裏付けるため、今回の研究が行われたのです。
具体的に説明すると、4歳~63歳までの男女をターゲットに、ADHDと診断を受けた1713人の被験者と、1513人の健常者を対象に研究を実施。
ADHDに関連する脳の「淡蒼球」「視床」「尾状核」「被殻」「側坐核」「扁桃体」「海馬」という7つの脳の領域を、MRIスキャンを使用して調査が行われました。
新しい研究で判明したADHDの脳の仕組み
この調査の結果、ADHD患者の脳の体積が通常よりも小さいサイズになっている事が判明。中でも、「尾状核・被殻・側坐核・扁桃体・海馬」が特に小さくなっている事が明らかになりました。
また、特に健常者との差が激しく見られるのが幼少期で、成人になるとその差は微微たるものになり、発見するのは難しいそうです。
しかし、ADHDの脳と健常者の脳の差は、他の精神障害と同等の差がある、という事が判明しています。
ADHDの脳の仕組みと専門家の意見
この研究結果から、それまでADHD、ASDといった発達障害に否定的だった学者たちも「ADHDが脳の障害であり、その特徴は脳の一部領域の発達遅延」であると述べています。
また、これまでの研究結果では、ADHDの症状の原因は「尾状核」と「被殻」にあるとされていましたが、今回の研究により「側坐核」「扁桃体」「海馬」の3つも大きく関係している事が判明。
この3つは、感情調整や動機、モチベーションといった部分で大きくADHDと関連しているそうです。
ADHDの脳と薬の関係について
また、最近ではADHDの治療薬として、「コンサータ」「ストラテラ」などが処方される事も多くなっていますが、この対処について否定的な意見も少なくありません。
しかし、今回の研究では薬物治療経験の有無に関わらず、この脳体積が小さくなっている現象が確認された為、薬物治療がADHDの原因になっているという説は完全に否定される結果となりました。
ADHDと社会の意見の相違について
ADHDは、未だ認知度は少なく、「気合が足りない」「そんなの誰でもあるよ」などと言われ、なかなか理解をしてもらうには難しいのが現状です。
この研究を行ったオランダのラドバーグ大学、マーティン・ホーグマン博士は、
と公表しています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
この記事が、ADHDの理解を少しでも深めるものになったら、私はとても嬉しいです。
他にも、様々な情報を発信しているので、良ければ見てみてください♪
それでは、今日はここまで。
See you again♪